2014.2. 7 [体験談]
【第十話】35歳課長 初めての単身赴任物語
第十話 35歳課長 初めての単身赴任物語
突然、転勤を命じられたサラリーマンの悲哀こもごもストーリー
第十話 「仕事の引き継ぎはスムーズに」
「東京へ行ってくれないか?」
突然、上司から人生初の〝転勤〟を打診されたわたし。
帝都太郎(仮名 食品販売会社 課長 35歳 妻子持ち)
同僚から単身赴任のケアについてレクチャーしてもらったわたし。心のケアの重要性を理解し、仕事の引き継ぎを意気揚々と始めたが意外なほど大変なものだった。問題を解決すべく、同僚にアドバイスを求めるのであった。
●後任者が決まっていない仕事の引き継ぎ
「なぁ、仕事の引き継ぎをスムーズにする方法ってないかな?」
仕事の引き継ぎが上手くいっていないわたしは、隣のデスクに座る同僚にストレートに質問をぶつけてみた。同僚は単身赴任を経験済みなので、なにかいいアイディアを持っているのではないかと考えた。
「引き継ぎ? そういえば後任者がまだ決まっていないんだっけ?」
そうなのだ。後任者がいれば一緒に仕事をしながら教えることができるのだが、まだ決まっていないため、引き継ぎのイメージができないのだ。
「知ってるか? 単身赴任の引っ越しで時間をとられるのって、仕事の引き継ぎが原因の一つになっているんだぜ」
たしかにここ数日、引き継ぎ業務に追われて引っ越し準備ができていない。妻にまかせっきりになってしまっている。
「部長とは話をしたのか?」
「なかなか時間がとれなくて...」
一応課長という肩書を持っているのである程度まかせてもらってはいるのだが、いかんせん通常業務と相まって忙しい。
「まずは自分のやらなければいけないことをリスト化しろよ。頭で考えてやっているのは効率が悪いぞ」
リスト化...単身赴任が決まってから何度か耳にしてきた言葉だ。「引っ越しでやらなければならないことをリスト化しなさい」と妻に言われたことを思い出した。
「単身赴任に限らず、リスト化する癖をつけておくと色々便利だぜ」
●リスト化するメリットとは「リスト化ねぇ...」
毎度のことだが、同僚の言葉に最初はピンとこないのである。
「リスト化するときは優先順位をつけて洗いだしていくとより便利だぜ。引き継ぎだってリスト化したものが手元にあればメモ代わりになるし、引っ越し作業に関わらず、単身赴任には手続きが必要になるだろ? 自信を持って言えるが『絶対』ヌケは出てくるんだ。まぁ普段と違うことをしているんだからしょうがないよな」
そういえば同僚は仕事をする際には何かしらのメモをとっている。あれはリストを作成していたのか。
「引き継ぎとはちょっと違うかもしれないけど、出来ることなら新しい職場にも早目に挨拶しておいたほうがいいな。赴任したばかりは新しい職場に慣れることと新生活の準備忙しくて人間関係まで気がまわらないだろ。先に顔を見せておくだけで印象が良くなるぞ」
話を聞いてみるとなるほど、と思うことが多々あった。
単身赴任をするということは、仕事のあり方や生活規則の再確認をすることにもつながるかもしれない。
35歳にして「可愛い子には旅をさせろ」という意味がわかったような気がする。
最近では単身赴任ついて前向きに考えることができるようになった。
しかし、単身赴任の日が近づくにつれ新たなトラブルが勃発するのであった...
次回「移動間際のトラブル」は3月10日更新予定です。お楽しみに。