2013.9.24 [生活準備マニュアル]
【第五回】 新しい職場でストレスを溜めない処世術
●実は栄転も大きなストレスに!?
単身赴任のきっかけが、栄転だったという方もいらっしゃることでしょう。大変喜ばしいことですが、実は大きなストレスも同時に抱えるものだとご存知でしょうか?
1960年代、生活上の変化に適応するのに必要な心的エネルギー量を調査し、平均値を割り出した「社会的再適応評価尺度」(SRRS)というものが米国で発表されました。
その研究結果では、過去1年以内に起こった生活上の出来事の点数が合計150点以上の場合、翌年に何らかの健康障害に結びつく危険性が50%、300点以上だと80%だとされています。
それを現代の日本の環境や生活習慣、価値観に照らし合わせたものが、精神科医である夏目誠先生と大阪樟蔭女子大学人間科学部教授の研究グループによって1988年に発表されました。
日本版ストレス指数表によると、なんと単身赴任は60点、昇進昇格40点、引っ越しが47点となっています。
ちなみに、左遷が60点、仕事の増加やペースアップが40点、自己の習慣の変化が38点です。
つまり、ただ転勤をして単身赴任生活をするだけで、150点を超えてしまうケースが多々あるということに......。これに、子どもの受験(46点)や夫婦喧嘩(48点)などが加わったら、あっという間に300点を超えてしまいそうです。
●単身赴任がうつ病発症のきっかけになることも......
引っ越しや転勤などの生活の大きな変化は、ストレスを強く受けるもの。
自分が思っている以上に、メンタル面に負担がかかっていることを自覚しておいたほうが無難です。
また、新しい職場ということもあり、張り切って仕事をすることもあるでしょう。
そのために、普段よりもオーバーワークになってしまうことも少なくありません。にも関わらず、家族団らんや奥様と話しながらの晩酌、などといったメンタルを癒す時間もなくなってしまうのです。
馴れない生活で、どうしても外食やコンビニ弁当などに頼ってしまうこともあるでしょう。そうなると、栄養バランスも崩れてしまい、体調も...なんてこともなきにしもあらず。
心身ともに負担が積み重なり、気がつかないうちに、うつ病まっしぐらなんてことも......!?
実際、冗談ではなく、単身赴任はうつ病発症のきっかけとなることが少なくないことが分かっています。そのため、カウンセラーに相談できる特約がついた海外駐在員向けの保険などもあるほどです。
「体重が増えた・減った」「食欲がない・異常にある」「夜、うまく眠れない・常に眠気がある」「疲れがとれない」などといった、身体的な不調があるならば、もしかしたらメンタルから来ているかもしれません。
その場合、専門家に頼るのも一つの手段です。職場にカウンセラーや医師が常駐している企業もありますが、メンタル面の不調だと、かかりにくいと敬遠する方もいらっしゃることでしょう。
その場合、自宅近くなどの心療内科のある内科に足を運ぶという選択肢があります。また、少々値段は高くなりますが、私設の、カウセリングやコーチなどに通って見るのもいいかもしれません。
もうひとつオススメなのが、職場に仲のいい人を作ること。気軽に話したり、ちょっとした愚痴を吐ける人が身近にいることは、とてもメンタルにとって良いことです。一人で抱え込みすぎてはいけません。
もちろん、いきつけの飲み屋や定食屋などを作る、というのも良い方法です。
最近は「飲みニケーション」が、嫌われる傾向もありますが、やはり社会人にとってはメリットも少なからずあるものです。
会社の人に「このへんでおいしいものを食べさせてくれる店ありませんか?」などと話しかけ、親睦を深めながら、話すきっかけを作ると、職場環境に馴れやすくもなります。
転勤・単身赴任生活が、人生のよい経験になるよう、自分自身をケアしながら仕事に励んでください。
第6回 上手なプライベートの過ごし方 は10月25日更新予定です。お楽しみに。