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2013.5.17 [体験談]

【第一話】35歳課長 初めての単身赴任物語  

00038644_72B.jpg突然、転勤を命じられたサラリーマンの悲哀こもごもストーリー

第一話 初めての「東京へ行ってくれないか」

突然の上司からの呼び出し そのワケは...

「...東京へ行ってくれないか」
「へっ?」
そろそろ梅雨入りしそうな気だるい午後。

わたし、帝都太郎(仮名 食品販売会社 課長 35歳 妻子持ち)は
人生初となる"転勤"を打診された...。

「と、東京? わたしが? なぜに?」  
上司の前であったが、明らかにテンパっていたわたしは、しどろもどろになりながら上司に問いかけた。

「これからはわが社も、東京進出を本格的に考えていかなければならない。君ならば適任だと思うんだがどうかな?」
「どうかな?」と聞いてくれてはいるが、サラリーマンの世界においてこれは確認、ではなく内示だということは常識だろう。

つまり我々には断る選択肢はないのだ。

「は、はぁ...身に余る光栄です...」
反射的に答えてはいたが、頭の中では様々な思惑がグルグルと回っていた。

『家買ったばかりだし...娘は小学生になったばかりだし、なにより東京って...』

自慢ではないが生まれてこのかた、一人暮らしをしたことがない。
それどころか東京というコンクリートジャングルにも片手で余るほどしか行ったことがない。

『単身赴任なんて絶対いやだぞ...』
一人さびしく晩酌をしている姿がふと頭に浮かんだ。

「正式な辞令はひと月以内に出るかと思う。よく考えてほしい。」
「イヤですムリですできません!」
「帝都君!?」

「マイホームを購入したばかりですし、娘は小学生になったばかりです。
なにより一人暮らしをしたことがないので不安でいっぱいです! ですからお断りします!!」

...と言えたらどんなに楽だろうか。頭の中での妄想小芝居はめでたく幕引きとなった。

「善処させていただきます」
「まだ決定事項ではないから社内秘で頼むよ」
「失礼します...」

力なく答え会議室を後にするわたし。上司には頼りない背中に見えていたことだろう。

断ることなんてできない... 妻への報告
「東京かぁ...」

35歳にして想像もしていなかった転勤命令。栄転だということは理解しているが
気持ちの上では完全には納得できていなかった。
「とりあえず妻に報告するかな...」

プルルルル

「はい、あらどうしたの? こんな時間に電話かけてくるなんて。忘れもの?」
[おれ、東京に行くことになった」
「東京? 出張?」

「東京に...東京に転勤になると思う!」
「転勤...へー...って転勤!? 」
「たぶんひと月以内に辞令が出ると思う。詳しいことは帰ってから話すよ」

妻は至極当然のリアクションをとった。まったく転勤がないとは
考えていなかっただろうが、驚くのも無理はない。

いまだ混乱した頭を抱えながら、自分のデスクに戻った私に同僚が心配そうに尋ねてくる。

「なぁ、なんで呼び出されたんだ? なにか下手うったか?」
「いや...今後のプロジェクトに向けての確認だよ」
「そうか、あのプロジェクトは成功させたいよな。うまくいけば俺らの出世も近くなるかもな」

出世...確かに出世にはつながるのかな? いまいち実感のわかないまま、仕事もそこそこに転勤のことが頭から離れなかった。

いよいよ妻と対面 最初の一言は...
その日、いつもより早めに仕事を切り上げ帰路についた。同僚からの飲みの誘いも断り、不安でいっぱいであろう妻の元へ急ぐべく、35年ローンを組んだマイホームへと速足で帰った。

一家の大黒柱として毅然にふるまわなければならない...! 愛する妻よ、心配するな。おれにまかせろ!
まるで走れメロスよろしく、妻のために走り帰ってきたわたしに妻は、想像以上に冷静、かつドライに

「単身赴任するんでしょ」

実にあっさりと言い放った...
こうしてわたしの単身赴任物語は幕を開けるのであった...

次回、妻との争い勃発!?「おれが一人で生きていけると思っているのか」は6月15日更新予定です。
お楽しみに。

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