その1、身ひとつで新天地へ行けること
単身赴任の準備にあたって
「東京支社への異動を命ず。」
早いもので、大阪に本社のある電子機器メーカーでのサラリーマン生活も20数年が経ちました。そして、この人生の中で、これが最も衝撃的な出来事であったわけです。
左遷でもなければ、もちろん解雇通知でもないので落胆することはないのですが…。大阪に生まれ育ち、結婚、子育てを経た今もなお当地に住む私からすれば、大袈裟ではなく国外への異動にも等しいのです。
しかし会社とすれば、今後さらに力を入れたい東日本への展開を鑑みての人事とのことで、これは私への期待感の現れとも取れます。
そうやって乱れた呼吸を整えて、改めて上司からもこれについての訓示を受け、いよいよ心定まった私の東京赴任。
しかしここで1つの疑問が生じます。赴任って何をどのように準備すればいいのでしょうか?
単身赴任の準備にあたって
いざ赴任が決まると、早速引き継ぎ資料の作成にとり掛かりました。
単独で進めるようなプロジェクトはありませんでしたが、それでも私が責任を負っていた箇所もあります。そこで、後任者にも分かるように留意点や問題点を整理し、さらに肝心な取引先のお客さんへの挨拶回りなども一気にこなしました。
しかし、もちろん通常業務も並行しなくてはなりませんので、当然の流れで目の回るような忙しさになりました。加えて息子の運動会や法事もあったりなどして週末も休む間もありません。こうした時はどうしても、気持ちばかりが急いてしまうのですが、ひとつひとつ地道にこなしていきました。
単身赴任の準備にあたって
一人暮らしに期待するなんて、まるで上京を控えた卒業前の高校生みたいですが…。もうじき50を数える身なのですが、お恥ずかしい話、多分同じ心境でした。
しかし、ウキウキした気分も束の間、現実はそう簡単ではありません。
まず、引っ越し先を見つけなければいけません。次に、引っ越し業者の選定。全て会社負担ですが、できれば安くて良いところを選びたいものです。さらに、面倒な諸々の書類手続きも控えています。加えてテレビや冷蔵庫など、家具の調達も必要ですし、食事と健康管理についても検討しなければなりません。
しかしながら何よりも重要なのは、仕事に支障があってはならないということ。大役を任されての辞令ですので、会社の期待には是非とも応えたいものです。
このように、気分は非常に高揚しているのですが、どうにもやることが多すぎて困ってしまいました。
会社で契約しているマンスリーマンションであったり、寮のようなものがあればいいのですが、その手のものはありません。できれば鞄1つの出張程度の荷物、いっそのこと手ぶらで生活を始められたらいいのに…とつくづく思ったものです。
ここで優先順位を付けました。プライオリティというやつです。
最優先すべきは、仕事をする上で支障のない環境であること。その補助作業である書類関係も面倒ですが欠かせません。そしてこれと同様に、後任者への引き継ぎにも手抜かりがあってはなりません。
こうして考えるとやはり、引っ越し作業に費やせる時間は多くはありません。すると、身一つで入居できる、家具付き物件を選ぶこと、これが非常に重要になってきます。
皆さんも、落ち着き先を選ぶ際は、この点に充分注意して選定作業にあたるべきかと思います。